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後ろ脚がなく、座面だけが浮いて見えるS 33。体を預けられるのは、座面から前へ、さらに床の後方までつながる鋼管があるからです。ガス管から始まった形、革とフレームの組み合わせ、座ったときのしなりを、5つの動く図解で見てみましょう。
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先に答え:前で受け、床までつなぐ
S 33は、座面で受けた重さを左右の鋼管から前側のフレームへ、さらに床のベースへ伝える椅子です。鋼管が曲げに抵抗して座面を支え、後ろへ伸びたベースが床で全体を受け止めます。[1][2]
S33の形と仕組みを5つに分けて見る
1. ガス管から生まれた、後ろ脚のない形
1926年、建築家マルト・スタムは、ガス管を使って後ろ脚のない椅子を試作しました。配管用の継ぎ手で部材をつなぎ、4本脚を使わずに座面を支える形を探ったのです。翌1927年には、シュトゥットガルトのヴァイセンホーフの住宅展で、この新しい椅子の考え方が注目されました。[1][3]
初期のガス管の試作は、まだ硬い構造でした。後ろ脚をなくす発想を出発点に、曲げた鋼管を使う椅子へと発展していきます。[3]

2. 鋼管フレームに、革の座と背を張る
革張りのS 33を大きく分けると、体を支える鋼管のフレームと、座面・背もたれの革からできています。左右のフレームの間に革を渡し、線の骨組みを、体を受け止める面へと変えています。[1][2]
座面の下に大きな箱を置かず、必要な線と面で構成する。空間が透けて見える軽やかな姿も、このシンプルな組み合わせから生まれます。

3. 座面で受けた重さを、左右のフレームへ
座ると、革の座面が重さを受け、左右の鋼管へ伝えます。その鋼管をたどると、前側で下へ曲がり、床につながっています。座面の後ろに縦の脚がなくても、荷重を床まで運ぶ経路があるのです。[1][2]
片側の支えから部材を張り出す構造を、カンチレバー(片持ち)と呼びます。重さで曲がろうとする鋼管が、その力に抵抗して座面を支えます。壁から張り出した棚も、片持ちの身近な例です。[4]

4. ベースを後ろへ伸ばして支える
前側の鋼管は足元で曲がり、座面の下を通って後方へ伸びています。左右のランナーを後ろでつないだ、U字形のベースです。床との接触が前後に広がり、前脚の真下だけで重さを受ける形にはなりません。[1][2]
椅子全体のつり合いには、重心の位置と床の支えの範囲も関わります。後ろへ伸ばしたフレームが、座面を支える構造と、床で全体を受ける役割をつないでいます。[5]
図はベースの長さを比べる模式図です。実物が伸縮する構造ではありません。

5. しなりが座り心地をつくる
体を預けると、鋼管のフレームがわずかにしなり、座面と背もたれが動きます。荷重が抜けると元へ戻る、鋼管の弾性を使った動きです。Thonetも、現在のS 33の特徴として、このしなりを紹介しています。[1][6]
重さを支える強さに、少し動いて体を受ける柔らかさが加わる。後ろ脚を省いた構造は、見た目だけでなく座り心地にもつながっています。
しなりは、動きを見やすくした模式表現です。

使った人・試した人の感想
購入者の投稿と、販売店スタッフの試座記録から紹介します。吹き出しは原文の引用ではなく、図解屋による要約・再構成です。
手入れしたあとの姿がうれしい
革を手入れしたら、見た目がとてもよくなった。ヴィンテージのS33を購入できて満足している。
1980年代製の購入品についての感想
出典を読む
自然な揺れと、安定した感触
腰を掛けると、鋼管がしなってふわっと揺れる。この揺れが自然で、リラックスしながらも安定感があった。
TOKYO RECYCLE imption・用賀店
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革の座面は、やや硬め
クッションはなく、座と背の革は少し硬め。板の座面とは違って、体重がかかると少し伸び、体になじむ感じだった。
同じ試座記事から、座面の感触を要約
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よくある疑問
S 32・S 34とは何が違う?
S 34はS 33の肘掛け付きのモデル。S 32はマルセル・ブロイヤーが手がけた別の椅子で、木枠と籐などを組み合わせた座と背を持ちます。似た片持ち構造でも、設計者や部材は異なります。[1][7]
S 33のサイズと座面の高さは?
メーカーの現行寸法は幅50×奥行64×高さ84cm、座面高46cmです。見た目が軽やかでも、後ろへ伸びたベースの分だけ奥行きがあります。置く場所の広さに加え、テーブルの高さや足のつき方も合わせて確認してみてください。[1]
まとめ:後ろ脚をなくしても、床までの支えは続いている
S 33は、座面で受けた重さを前側の鋼管へ、そこから後ろへ伸びる床のベースへ伝えて支えます。鋼管と革の少ない要素が、体を受ける強さと、しなる座り心地をつくっています。

木を曲げて座面と背をつくるアントチェア、Y字の部材で背を支えるYチェアも、形と構造が結びついた椅子です。素材の違いに目を向けると、見比べる楽しさが広がります。
参考資料・出典
- Thonet「S 33」
- PLUS「THONET S 33」
- Thonet「As if drawn into the room: Thonet and tubular steel」
- MIT OpenCourseWare「Structural Mechanics, Lecture 8」
- OpenStax「College Physics, 9.3 Stability」
- Thonet「Sitzen wie auf Luft: S 33」
- Thonet「S 32 V」
- linefena「Thonet S33 authentic or replica?」購入後の追記(2025年6月14日)
- フク/TOKYO RECYCLE imption「S33 side chair:ユーザー目線であること」(2021年6月13日)
資料確認日:2026年10月6日。


