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カテゴリー: 生物のデザイン

  • ネコとヤギで瞳孔の形が違うのは?

    ネコとヤギで瞳孔の形が違うのは?

    ネコの瞳孔は縦長、ヤギの瞳孔は横長。どちらも光を取り込む入口なのに、なぜ向きが違うのでしょうか。鍵になるのは、獲物までの距離をつかむ見え方と、周囲の危険を見つける見え方です。明るさへの対応から頭を下げたときの目の動きまで、5つの図解で見ていきます。

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    先に答え:距離を捉える目と、周囲を見渡す目

    ネコの縦長の瞳孔は距離を捉え、ヤギの横長の瞳孔は周囲を見渡すのに適した形と考えられています。形の違いは、捕食するかされるかだけでなく、目の位置や目線の高さ、昼夜の活動とも結びついています。[1][2]

    瞳孔の形の理由を5つに分けて見る

    1. ネコ:明るさに合わせて、入る光を調節する

    目の黒い部分にあたる瞳孔は、光が入る穴です。まわりの虹彩が動いて開き具合を調節し、明るい場所では小さく、暗い場所では大きくなります。ネコの瞳孔が細い線になったり、丸く見えたりするのは、この開き方が変わるためです。[3]

    細長く閉じられるネコの瞳孔は、取り込む光の量を大きな幅で調節できます。ただ、光を調節するだけなら横長でも働きます。縦と横の違いを知るには、「何を見る必要があるか」にも目を向ける必要があります。[1]

    2. ネコ:二つの手掛かりで、距離を捉える

    一つ目の手掛かりは、左右の目に映る位置の違いです。両目が前を向くネコは、同じ獲物を少し違う位置から見ています。縦長の瞳孔は横幅が狭く、縦の輪郭をくっきり保ちやすい形。この輪郭を左右の目で比べることが、距離を読み取る助けになります。[1]

    二つ目は、ピントの合い具合です。瞳孔が縦方向に大きく開くと、横の輪郭はピントの合う距離から外れたとき、上下方向ににじんで見えやすくなります。左右の目に映る位置の違いと、ピントの合い具合。この二つが補い合うことで、獲物までの距離を捉えやすくなると考えられます。[1][2]

    3. ネコ:低い目線で、距離をつかむ

    光学モデルで同じ瞳孔の条件を比べると、目線が地面に近いほど、地面の手前と奥でピントの合い具合に大きな差が生まれます。低い位置から獲物を見るネコには、この変化が距離をつかむ手掛かりになる、という説明です。図では、地面上の対象がピントの合う位置から手前へ動く様子を示しています。[1]

    動物を比べた研究でも、縦長の瞳孔は小型の待ち伏せ捕食者に多く見られました。一方、ライオンやトラの瞳孔は丸く、捕食者がすべて縦長というわけではありません。ここで紹介した距離の読み取り方は光学モデルからの提案で、ネコが二つの手掛かりをどう使うかまでは直接確かめられていません。[1][3]

    4. ヤギ:横長で、周囲を見渡す

    草を食べるヤギには、周囲から近づく捕食者に早く気づくことが大切です。横長の瞳孔は地面沿いの光を取り込みやすく、頭の両側にある目と組み合わさって、前後を含む広い範囲を見渡すのに役立ちます。[1][2]

    さらに、横長の形には地面の横向きの輪郭を捉えやすくする働きがあります。上からのまぶしい光を抑えながら、逃げ道にある地形を見分ける。危険を見つけることと、足元を見ながら逃げることの両方につながる形です。[1]

    5. ヤギ:頭を下げても、瞳孔はほぼ水平に

    では、草を食べるために頭を下げたらどうなるでしょう。顔と一緒に瞳孔も傾くと、横長の向きが地面からずれてしまいます。ヤギはこのとき、眼球を頭の傾きと逆方向に回し、瞳孔を地面に対してほぼ水平に保ちます。[1]

    この目の動きは、研究者による動物園や農場での観察でも確かめられています。市川市動植物園の飼育日誌にも、頭を下げたシバヤギの目が写真で紹介されています。瞳孔の「形」に目の「動き」が加わることで、食事中も周囲を見渡す見え方を保っているのです。[1][4]

    よくある疑問

    ネコの瞳孔が丸く見えるのはなぜ?

    暗いところで瞳孔が大きく開くと、丸い形に近づくからです。「ネコは縦長」は、主に瞳孔が小さくなったときの形を指します。[3]

    ヤギの瞳孔は、いつも横長の長方形?

    暗いところで大きく開くと、縦横の差が小さくなり、丸い形に近づきます。明るい場所で目立つ横長の形が、いつでも同じ大きさで固定されているわけではありません。[4]

    まとめ:瞳孔の向きは、暮らし方とつながる

    ネコとヤギの瞳孔は、それぞれの暮らしで必要な見え方に適した形と考えられます。

    • ネコは、左右の目に映る位置の違いとピントの合い具合を、距離の手掛かりに
    • ヤギは、横長の瞳孔と横向きの目で、地面沿いの周囲を見渡す
    • 頭を下げたヤギは眼球を回し、瞳孔をほぼ水平に保つ

    動物の目を見るときは、黒い部分の形に加え、目がついている位置や頭の動きにも注目してみてください。

    参考資料・出典

    1. Banks, M. S. ほか(2015)Why do animal eyes have pupils of different shapes?

      Science Advances 1(7), e1500391。瞳孔の形と生態、縦長・横長の光学モデル、眼球回旋の観察。 論文の全文PDF

    2. UC Berkeley(2015)Pupil shape linked to animals’ place in ecological web

      研究機関による発表。対象種数、距離の手がかり、目線の高さ、研究者による動物の観察。

    3. よこはま動物園ズーラシア「どうぶつかんさつシート アジアの熱帯林ゾーン」解説編 p.7

      イエネコとトラ・ライオンの瞳孔の違い、明暗による瞳孔の変化。

    4. 市川市動植物園「飼育日誌(3月7日~3月21日)シバヤギ」(2026年3月31日更新)

      頭を下げたシバヤギの瞳孔と、暗い場所で瞳孔が大きく開いたヤギの写真・飼育観察。